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こんにちは。税法免除大学院に通いながら税理士を目指しているエリカです。
現在論文執筆に向けて鋭意文献収集中なのですが、
実は論文執筆において使ったほうがいい論文と使わないほうがいい論文が存在します。
使ったほうがいい論文は、権威性の高い人が書いている論文です。
でも、租税法に詳しくなかった人間が、大学院に入ったからってすぐに
誰の論文が権威性が高くて、誰の論文が権威性が低いのかって、なかなか見抜けないです。
ということで、今回は権威性の高い論文ってどんなの?という話と、その調べ方を紹介します
なんで権威性が必要?
本題に入る前に、なんで権威性が必要?という話を少し。
たとえば、租税法を勉強していて、こんな風にするべきだと思う、
と一学生の私が書いたところで、誰も見向きしてくれません。
「あっそ」で終わります。むしろ反応もらえるだけでもいいほうだと思います。
ところが、私が同じことを言ったとしても
「金子宏先生もこうおっしゃっていたし、こうするべきだと思う」
と言った瞬間に、租税法学者であればたいてい耳を傾けてくれます。金子先生偉大。
一見荒唐無稽な内容でも、金子先生がおっしゃっていた、というだけで、
じゃあ一考の余地があるのかな、と思わせてくれるんですね。
権威性ってそういうことです。
大学院生は研究者の端くれとはいえ、一学生に過ぎないので、
持論を勝手に展開するのではなく、権威性の高い人の言葉を借りて(適切に引用して)
理論構成していくと、なかなか説得力のある論文になるということです。
どういう人の論文を集めればいい?
では、租税法分野でいう権威性の高い人はどういう人か、というと、租税法学者さんです。
税法論文を書くので、租税法の研究者の方の論文を引用したほうが説得力ありますよね。
次いで内容によっては実務家の方、参考に学生の論文、といったところになります。
租税法学の最高権威!金子先生がおっしゃっていればぜひ使いたい
間違いないのは先にも例に挙げた金子宏先生です。「租税法」の本でおなじみですね。
残念ながら2022年8月にお亡くなりになられたので、
今後どれだけすごい方なのか知らない方も出てくるかもしれないのですが、
一応どれだけすごい方かを書いておくと、
租税法学者として初めて文化功労者(2012年)、文化勲章を受章(2018年)されていますし、
直接聞いたわけではないですが、
ある講演会の質問時間に会場の質問者から係争中の案件についての意見を求められ、
「私がここでコメントすると判決に影響があるかもしれないのでコメントは差し控えます」
なんてお答えしたという逸話もあるのだとか。
(おそらく金子先生しか使えないユーモアだと思います笑)
嘘だったとしてもありえそうな話です。
租税法学者で知らない人はいないので、
金子先生が書かれていて、引用できそうな箇所があればぜひ使いましょう。
金子先生のお弟子さんたちも間違いない
金子先生のお弟子さんの筆頭に中里実先生がいます。
中里先生は政府の税制調査会長も務めていらっしゃいますし、
権威性という点では間違いないでしょう。
その他にも、佐藤英明先生、増井良啓先生、水野忠恒先生などがいらっしゃいます。
「租税法」に引用されている著者の方々も大丈夫では
金子先生著の「租税法」の巻末には、参考文献リストがあります。
他でもない金子先生が参考文献として利用されている方々ですので、
こちらも間違いないのではないでしょうか。(やはり金子先生は偉大)
金子先生と関係ない方の権威性を調べるには?
金子先生関連を中心に権威性の高い方を紹介してきましたが、
実際に資料を集めるときは、内容ベースで集めるので、
金子先生との関係が分からない方の論文も多々あると思います。
(参考文献の集め方はこちらの記事も参考にしてみてください)
そんな時は、CiNiiを使って調べてみるといいと思います。
(CiNiiの基本的な使い方はこちらの記事でも説明しています)
CiNiiでは普通、キーワードなどで論文の掲載文献などを調べますが、
権威性の確認という点では、その著者の論文数(検索結果数)を調べます。
研究者であれば、最低でも50~100以上は執筆されていると思います。
(ちなみに金子宏で調べてみたところ、検索結果が2,071件と表示されました。)
著者名で検索した時の検索結果数が多く、
タイトルをざっと見て同じような内容(分野)のものが多ければ、
その分野についてある程度権威性のある方なのではないかと考えて支障ないと思います。
権威性の高い論文を活用して質のいい論文を書こう!
以上、権威性の高い論文の調べ方の紹介でした。
実は、授業などの課題をこなすために調べ物をたくさんしていると、
金子先生関係以外の方でも、この人はよく出てくるな、という方がぼちぼち出てきます。
そうした方の論文もぜひ活用しつつ、
名前を初めて聞いたような方は一応権威性を確認しつつ、
たくさんの文献を集めて、質のいい論文を書いていきましょう!
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