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こんにちは。税法免除大学院に通いながら税理士を目指しているエリカです。
税法免除大学院への出願時にも研究計画書を提出したと思いますが、
そもそも出願時のテーマにはそこまで関心がなく、
テーマ変更を検討している方も多いと思います。
ということで、今回は入学してからの研究テーマの決め方(深堀の仕方)について書いてみたいと思います。
入学前の研究テーマの検討についてはこちらの記事で書いているので
大学院への進学を検討している方はこちらを参考にしてみてくださいね。
テーマを決めるまでの3ステップ
まず、研究テーマを探す前に、テーマを決めるまでの個人的3ステップを紹介します。
①制度の現状を知る
研究テーマ探しはつまり問題点探しになるのですが、
そもそもその制度について知っていなければ問題がどこにあるのかも分かりません。
税法免除大学院へ入学後、租税法関係の科目を履修することになると思いますので、
そちらで現行制度について勉強しましょう。
また、ぶっちゃけてしまうと、
大学院の授業だけで税法を細かいところまで拾うのは難しいと思います。
なので、市販の参考書や書籍、有料データベースを使って勉強するのはめちゃくちゃ大事です。
おすすめ書籍はこちらも参考にしてみてくださいね。(入学後にもおすすめの本ですので!)
②制度趣旨を考える
①で現行制度を理解したら、なぜそんな制度になっているのか?
どういう趣旨で作られたものなのか?を考えます。
ここで使えるのがコンメンタール(逐条解説)というもの。
だいたい大学院の図書館にいけば置いてあったり(加除式のやつ)、
大学院によってはインターネットを通して利用できるデータベースで提供していたりすると思います。
コンメンタールでは、各条文についてその立法趣旨から改正の変遷まで、
書いてないことがないのではないかというぐらい詳細に説明があるので、
気になる制度(条文)があったらコンメンタールも併せて確認しておきましょう!
③その制度は現状とマッチしているの?を考える
②で確認した制度趣旨。それは現状とマッチしているものなのか?を考えます。
立法(改正)当時にはもちろん当時の情勢を鑑みて作られたものだと思いますが、
社会情勢は常に変化しているもの。
立法当時の趣旨のままにしておいて現状でも意義のあるものなのか?
が考えられれば、それが研究テーマになります。
たとえば所得税法でよく言われているのは、
「家族」というのが「片稼ぎ夫婦・子2人世帯」をロールモデルとして作られているということ。
共働き家庭も増えていたり、子どもを持たないという選択肢も増えている中、
このロールモデルを前提として作られている制度は果たして現状としてどうなの?
という疑問から、いろいろと研究テーマを探すことができますよね。
他にも、制度設立時には想定していなかったものが出てきている場合、
それを現行制度にあてはめるとどうなるの?なども、論点としてあげやすいです。
(今だと仮想通貨、NFT、シェアリングエコノミーなどなど)
…と、そんな風に3ステップで制度を見ていくと、研究テーマが探せると思います。
研究テーマのアイディアはここに転がっている!
上で書いたような3ステップを意識してもらえば、
何かしら個人的に引っ掛かりが出てきたところを研究テーマとして選ぶのは難しくないと思いますが、
以下では、私が税法免除大学院で生活する中で、
研究テーマここにあるやん?!と思った瞬間をまとめてみました。
主にステップ①(現状を知る)ための機会ですかね。
授業中にポロッとこぼれる疑問点
各税法の授業の中で、教授がポロッと問題点をこぼしたりすることがあります。
教授によっては積極的に「ここが問題で~あれが問題で~」なんて、
テーマになりそうなヒントをくれる人もいます。笑
教授が言わずとも、自分が授業を受けていて、
これ、なんで?と思ったところはだいたい研究が盛んなテーマだったりもします。
判例研究から探す
判例研究系の授業をとっていると、
当然判例を深堀することになると思いますが、
あるテーマに対して、すべて判決で解決している!なんてことはまずないです。
なんでここをもっと議論してくれなかったんだ!と憤りを感じるレベルです。(マジで。)
議論が足りないところ=研究テーマとして成立しますよね。
租税判例百選なんかを見てみても、だいたい討議議題が掲げられていますし、
そんなところからも研究テーマにつなげることができます。
ちなみに、判例研究の資料の集め方はこちらも参考にしてみてくださいね。
雑誌記事の特集を眺める
税法免除大学院に入学すれば、
税法関係の雑誌が図書館にたくさんあると思います。
雑誌ではよく特集が組まれていたりするのですが、
特集が組める=問題点もりもりのところ!
ということで、雑誌を眺めているとそんなことが問題なんだー、
と、新たな気づきがあったりしますよ。
※日本税務研究センターの学生会員になると、
「日本税務研究センターの刊行物の電子書籍サービス」の利用ができ、
・「税研」(機関紙)
・「税務事例研究」
・「日税研論集」
・日税研究賞「入選論文集」
がいつでもどこでも見れます。
こうした雑誌の特集やタイトルを眺めるだけでも研究テーマはたくさんあるなと分かりますよ。
「租税法」と「コンメンタール」を流し読み
やっぱりきれいにまとまっているのが「租税法」(金子宏)です。
もう何をすればいいのかわからない!となったら基本(租税法)に立ち返るのがいいです。
読み返すと、「金子先生!!ありがとうございます!」という気持ちになります。笑
あとは息抜き(?!)にコンメンタールを眺めるのも楽しいです。
思いがけず制度の変遷を知ったりできるので、
複雑な制度も少し許せるようになります(?)。
というのは冗談で、読みながら、いや、それだったら現状おかしくない?!
と、ふと気づくことも多々あります。
日税連の建議書を見てみる
日税連の建議書を見ると、
立法の立場とはまた違った視点からの税制の在り方や方向性が分かります。
建議書は現行制度の問題点を指摘するものでもあるので、
テーマに迷っている人も、一度建議書を眺めてみると、
現行制度のいろいろな問題点に気づくと思います。
実は研究テーマはたくさん転がっている
以上、個人的研究テーマの探し方でした。
税法免除大学院に進学すると、有料データベースが使えるようになったり、
図書館に税法系の書籍が充実していたりするので、
そんなものを見たり活用していたら意外と研究テーマっていろんなところにあるな、
と気づきます。
私は書いてきたようなことを考えて生活していたせいか、
実はあれもやりたいしこれも面白そうだしと、しっちゃかめっちゃかになりそうでした。笑
この記事が研究テーマ探しで迷っている方の参考になればとてもうれしいです。
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